商流とは|物流との違いや商流が重要な理由やメリットについて解説



商流とは、流通の中の1つで、商的流通・取引流通とも言われ、主に取引の流れを指します。
商流は売買取引や、商品の所有権移転などもいえます。

商流と物流は言葉としては違うものの、流通の中で密接に関係しており、
経済活動においてこの商流と物流の関係を理解することで、お客様との商品のやり取りや取引先との仕入れの流れをさらに理解することができるかと思います。
今回はこの商流の重要性や、なぜこの商流が物流においても必要なのかを解説していきます。

商流とは:

商流は、商品が生産者から最終消費者に至るまでの一連の流れの中で、商品の所有権や金銭、情報が移動していく売買取引などの商取引活動を指します。
商的流通・取引流通とも言われます。
商取引活動を3つの区分で構成され、「物流」、「金流」、そして「商流」と分けられます。
例えば、仕入れ先との受発注や、商品の購入の際に発生する所有権や情報の移動も商流といえます。

 

 

商流と物流の違い:

では「商流」と「物流」で何が違うのか?
一般的に商流はその際に発生する所有権金銭情報の移動を指し、物流は、をAからBへ流す、商品そのものの流れのことを指します。
物流には主に、運用・輸送・保管・包装・情報・流通加工・荷役の要素が含まれます。
一方商流は、受発注データの受け渡し・販売管理・在庫管理、などの取引上の流れとなります。

言葉としての意味は違えど、物流と商流は密接な関係を持っています。
3PL事業においては、この2つは非常に重要な関係性を持ち、
例えば3PLで発生する出荷作業においてもこの物流と商流はあります。

▶出荷作業の一例

・荷主から受注データを受け取る(商流)
・受注データを元に商品をピッキング・梱包(物流)
・梱包した商品を配送業者へ引き渡し(物流・商流)
・出荷完了データをお客様へ送信(商流)
このように商流と物流は、商取引の形に応じて同時に進行する場合もあれば、どちらか片方のみ発生する場合もあるのです。3PL事業はもちろん、物流業界での商流の動きは、密接に関係しているといえます。
株式会社関通では、こういった商流の動きと合わせた受注処理や物流のご提案もさせて頂いております。

商流の重要性:

商流を理解していくと、物流と同様に重要なものだと理解できます。
物流との違いでも触れましたが、所有権や情報の移動、データの受け渡しが商流に当たります。
例えば3PLでの受注処理においては、この商流的要素が大きいのではないでしょうか。
また在庫データを元にした棚卸しも物流的業務ではありますが、商流的にも捉えることができます。
これらから見ても、商流の重要性は明確です。
ではなぜ物流と商流が分けられるのか、それは需要と供給のバランスを取るためです。
商流と物流は「時間軸の違い」、「生産地域と消費地域の違い」、「量・種類の違い」によって様々な流れの形態が出てきます。
同時に動くこともあれば、ずれることもあります。
購入の際の決済と物が届くまでのリードタイムはもちろん、
生産者が小売業者で卸をしても、小売業者が売るまでビジネスが発生しないように、
需要と供給のバランス、商流と物流のバランスは非常に重要になってきます。

商物分離の必要性とは:

商物分離とは、商業と物流を切り離して、それぞれ専門化することを指します。
商物分離の必要性は以下のような理由から考えられます。

・専門化による効率化

商物分離によって、商業者と物流業者がそれぞれ専門化されることで、より効率的なビジネスモデルが実現されます。
商業者は商品の仕入れや販売、マーケティングに特化し、物流業者は物流の専門家として、保管や輸送などの物流サービスを提供することができます。

・品質の向上

商物分離により、物流業者が専門的な物流サービスを提供することで、製品の品質を向上させることができます
物流業者は、製品の保管や輸送において品質管理を徹底することで、製品の品質を確保し、顧客満足度を高めることができます。

・責任の明確化

商物分離によって、商業者と物流業者の役割が明確になり、責任を明確にすることができます。
例えば、製品の品質に問題が生じた場合、商業者は商品の販売に責任を持ち、物流業者は物流サービスに責任を持つことができます。

・競争力の向上

商物分離によって、競合他社との差別化が可能となり、市場競争力を向上させることができます
商業者は、商品の品質や価格、サービスの向上などを通じて、競争力を高めることができ、物流業者は物流サービスの質や効率性を高めることで、競争力を強化することができます。

・物流業務のアウトソーシング

商物分離によって、製造や商品開発に特化した企業は物流活動を3PLに外部委託することで、自社で物流業務を抱える必要がなくなり、コア業務に力を入れられます。より効果的に事業を展開できます。

以上のように、商物分離は、ビジネスの効率化や品質の向上、責任の明確化、競争力の向上など、様々なメリットがあるため、近年ますます注目を浴びるようになっています。
ただし、商物分離を実施する際には、適切な物流パートナーやサプライチェーンの管理が必要です。また、協力関係を構築し、情報共有やコミュニケーションを円滑に行うことが成功の鍵となります。商物分離のメリットとリスクを適切に評価し、戦略的な判断を行うことが重要です。

物流業務をアウトソーシングするメリットとデメリットとは:

物流業務をアウトソーシング(外部委託)することには、以下のようなメリットとデメリットがあります。

メリット

  • 専門的なノウハウと効率性:物流業務をアウトソーシングすると、物流に特化した専門企業が担当するため、高度なノウハウや最適化されたプロセスを享受できます。これにより、物流業務の効率性が向上し、コスト削減やスムーズな運営が期待できます。
  • コスト削減:アウトソーシングにより、物流業務に必要な設備や人材の費用を削減できます。外部の物流企業による共通の運営コストを分散することで、企業の固定費を軽減することができます。
  • リスク分散:自社で物流を行う場合、天候や交通渋滞などの外部要因によるリスクを抱えることがあります。アウトソーシングにより、物流企業がリスクを分散するため、ビジネスの安定性が高まります。
  • 拡張性と柔軟性:需要の変動や事業の成長に対応する際、外部の物流企業はスケーラブルなサービスを提供することができます。自社で運営するよりも柔軟に対応できるため、運営のスムーズな拡張が可能となります。

デメリット

  • コントロールの損失:アウトソーシングにより、物流業務を外部に委託するため、自社で直接コントロールできない部分が発生します。外部企業の運営による誤りや問題がある場合、対応が遅れることがあるため、信頼性や品質の確保が重要です。
  • 情報セキュリティの懸念:アウトソーシングには情報を共有する必要がありますが、情報漏洩などのセキュリティリスクが懸念されます。特に個人情報や機密情報を取り扱う場合、適切なセキュリティ対策が求められます。
  • ロングタームの契約:アウトソーシングには一定期間の契約が必要な場合があります。ロングタームの契約を結ぶことで、将来のビジネスニーズに対応しづらくなる可能性があるため、契約内容を慎重に検討する必要があります。
  • コミュニケーションの課題:外部企業とのコミュニケーションや連携がスムーズにいかない場合、物流の効率性や問題解決に影響を及ぼすことがあります。相互理解とコミュニケーションの強化が重要です。

企業は、アウトソーシングを検討する際にこれらのメリットとデメリットを考慮し、自社のニーズや戦略に合った最適な選択を行う必要があります。

自社の商流を理解する方法とは:

自社の商流を理解する方法として、2つあります。

1:フロー図を作成する

2:販売管理システムを導入する

1:フロー図を作成する

フロー図は、仕入先から消費者までの商品の流れを図示したもので、各ステップやアクティビティ、意思決定ポイント、データの流れなどを視覚的に表現します。商流における各段階や関連する活動を明確にすることで、全体像が把握しやすくなり、利益改善につながるポイントを見つけられることもあります。

2:販売管理システムを導入する

販売管理システムを導入することで、商流をシステム上で把握できます。
販売管理システムは、企業や店舗が商品の販売活動や在庫管理を効率的に行うための情報システムです。
手動でのデータ入力や在庫管理の手間が削減され、精度の高い販売情報が得られることで、効率的なビジネス運営と顧客サービス向上が実現します。大規模な小売業や多店舗展開を行う企業など、販売活動が複雑な場合に特に重要なツールとなっています。

商流を理解することで得られるメリットとは:

では、なぜこの商流を理解しておかないといけないのか。
需要と共有のバランスを取るためと書きましたが、そうすることで得られるメリットとはなんでしょうか?
商流を理解することで、得られるメリットは4つです。

1:自社だけに留まらず、先方や第三者に対して明確に説明ができること
2:担当者レベルでも必要な情報のやり取りが理解できること
3:全体を俯瞰した際にボトルネックが浮き彫りになること
4:業務の改善点が見つかること

1:自社だけに留まらず、先方や第三者に対して明確に説明ができること

データのやり取りはもちろん、決済などの流れは、自社だけでなく、相手企業がいます。
またそれらを管理する企業もいるかもしれません。
そういった相手とのやり取りの際に、物流だけでなく、商流も理解しておくことで、しっかりとした説明の元、企業間でのコミュニケーションは進むのではないでしょうか。

2:担当者レベルでも必要な情報のやり取りが理解できること

1つの現場・センターを見た際にその現場責任者だけがこの商流を理解していても、実際に相手とやり取りする担当者が理解していないと、データのやり取りなどのイレギュラーが発生した際に、商流のどこでエラーが発生したのかがわからないままになってしまいます。
担当者でも商流を理解することで、エラー発生時の対応スピードが大きく変わってくるのではないでしょうか。

3:全体を俯瞰した際にボトルネックが浮き彫りになること

物流と商流を理解することで、全体の流れ(フロー)を理解することができます。
そうすることで、どのセクションでどういった課題、問題点があるのかを知ることができます。

4:業務の改善点が見つかること

会社間での商流や取引に関する情報(金額、取引の量など)を可視化することにより、自社の業務や流通全体の改善点を見つけることができます。
例えば、複数の仕入先の情報を整理することで取引額の比較が可能となり、価格交渉の戦略を練ることができます。企業間での問題点を洗い出すことで、自社だけでなく業務に携わるすべての企業へ問題提議が行え、企業間での改善が進むことでしょう。

これからの商流:

 

ロボットの発達により、物流は大きく変わろうとしています。
それは商流でも同じです。
RPAでの自動データ送信や自動取込などもその1つです。
今後、AIの発達により物流業界では、出荷頻度などから導き出されるロケーション設定の自動化や、在庫情報を元にした販売戦略の提案など、様々な商流が変わっていくことでしょう。
そのためにも物流はもちろん、商流を理解しておかないとこれからのロボティクスの時代においていかれる可能性は十分にあると言えます。

まとめ:

いかがでしたでしょうか?
商流という言葉を初めて聞いた人や物流と混同していた人は多いと思われます。
現代のビジネスシーンでは、荷主企業の物流改善の方法としてアウトソーシングの活用やDXの推進などさまざまな手段が考えられます。その中でも、商流を理解することで、自社の現場や他社とのコミュニケーションが変わることはあります。
商流はどの企業でも発生する流通の1つです。
理解することで、様々な業務の改善に役立つことでしょう。
関通では、商流の部分で、受注処理のご対応も含めたワンストップの物流もご対応しております!
物流のご相談、お待ちしております!

 

年間700万個出荷の物流を扱う関通が日々現場で蓄積している、「すぐマネできる」改善ノウハウをご紹介しています。

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